耐震偽装その後…


※WARNING※この記事を書いた後で友人からご指摘された「間違い(姉歯氏は自ら告発したわけではなく外部にバレたので容疑を認めた)」についてココでお詫びと訂正をさせていただきます。申し訳ありませんでしたっ!(陳謝
以下は自己への戒めの為全文訂正なしの赤っ恥覚悟で引き続き掲載します。


さて、以前当方は姉歯氏だけが事件の首謀者な訳はないと思ってる旨を述べましたが、今日のニュースでもかなりその線の確証が強くなってきた模様。
そのうえ施工業者側での手抜きやコスト下げのカラクリ(姉歯氏の構造図と木村建設での構造施工図の違いなど)、次々と実証を取れる証拠が挙がってきました。
前々から言われていた事ではありますが総研、木村系列の偽装への関与は疑う余地のないほど確実味を帯びてきましたね。

その中で唯一自身の罪を認め、公的に裁かれる事を受け入れているのは告発者当人である姉歯氏のみ。
この構図を世論はどのように受け止めているのだろうか。
どなたかの意見では、姉歯氏は偽装システムに飲み込まれた被害者であるかのように語られているが実際の力関係では木村建設ら建設業者よりも上であり、実質的に主導権を握っている側だと言われていたが本当にそうだろうか。

海外の建築家達の立場や職務内容であればソレも間違いでは無かっただろうと思う。
何しろ米国や欧米の「建築家」と呼ばれる人たちは皆自身が建築を設計から施工までトータルに責任を持って竣工まで監督するものであるから当然だろう。(実は海外に「建築士」という資格制度はほとんど無い)
いわば建築における統括責任者である。その上に来るのは施主(依頼主又はスポンサー)以外の何者でもない。建設業者はあくまで実施設計施工、建築家の指示に従って建てるだけだ。

しかしこれが日本のケースとなるとこの構図は一部逆転が見られたりする。
そう、それが施工業者と建築士の立場だ。
日本では建築家というのは大抵「一級建築士」である人のことを指す。
ところが日本の建築士は全ての人が意匠から構造、施工までを監理監督する訳ではない。
大体意匠は意匠、構造は構造、施工は施工で分業化していることが多く、全てを一人が統括するケースはきわめて稀だと思う。
海外でも構造計算は専門家に任せるケースは多いと思うが、忘れてはならないのが海外は日本ほど地震など無い国が主だということw
当然多少構造的に弱かろうがニューヨークや西欧諸国などのように滅多に地震が襲う心配の無いような国では構造は意匠より重視されないこともある。
あの倒壊した超高層、ワールドトレードセンタービルがその典型ともいえる。
話がそれたが、つまりはそれだけ建築士が担う範囲も違えば建築士の立場も高くはならないというわけだ。

とりわけ日本では大プロジェクトから中小規模まで幅広く建設業界を引っ張ってきた大手ゼネコンがあり、建築士はそういったゼネコンの中に所属していたり、またはゼネコンからの受注を受けて仕事していたりといった構図が既に出来上がっていた為、中堅建設業者レベルでも同じような権限、責任の構図が浸透しているという背景があることも忘れてはならないと私は思う。
安藤忠雄黒川紀章といった「著名な大建築家」でもない限り、物件を実際に扱う「大きな会社組織」であるゼネコン、建設会社に対して大きな権限を持てる建築士はそう多くは無い。

何処だったか、「木村建設は海外で同じようなホテルビルを自社の僅か半分の工期で作り上げてしまう工法を学び、工期の短縮とコスト削減に成功しました」という木村建設のアピール広告文を載せている所を見たことがある。
が、それは当然といえば当然のことなのだ。地震に絶えず揺すられている国とそうでない国の建築耐震強度が同じで作られているはずは無いのだから。
そんな弱い建築工法で、さらにコンクリ生乾きで鉄筋減らしたりすりゃあ強度なんかハナからあるはずも無かろうにw
そんなトーフ工事でボロ儲けをしていた彼らにどうして罪が無いなどと言えようか。
きちんと構造計算し、限られた予算の中真っ当に創意工夫でコスト削減を図っている誠実な建築家や建設業界人たち全ての社会的信用を著しく落としたこの事件、絶対にうやむやにされて終わらせて欲しくは無い!
やはり建築に関わる一人として切にそう願う。