いきなりですが映画レビュー第一回『亡国のイージス編』
- 作者: 福井晴敏
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/06/30
- メディア: 単行本
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レンタル店で借りて見れました。
映画は結構気になってたんですよコレ、面白そうだな〜ってw
でも実は当方、この映画の原作小説全く読んだことがありません!(バチ当たり
ただミリタリー物の映画で、軍事サスペンス物ってことで
食指がうずうずしてただけでしたw
ただこの映画、ネット上の批評などを見ると
原作を知る人やファンとしらない人とで評価がかなり違うようで(^^;
原作ファンの方からすればかなり端折られた設定や説明が多すぎて
物語の中核が抜けてしまってるとの噴飯モノらしい…(^^;
でも私は他の「原作知らず」の方々同様に中々良かったという印象を持ちました(^^
確かに他の方のレビューで述べられているように、登場人物の背景や動機等が
初めて物語を観た当方には伝わりきらない箇所が多いという欠陥はありそうです。
しかしその辺は必要最低限の情報を回想シーンで流しているようなので、
そこから自分で想像する楽しみと受け取ることも可能かな…苦しいか?(苦笑
この映画、何かとハリウッドの「ザ・ロック」の真似と批判されているようですw
物語の構図が「難攻不落の陣地に祖国の裏切り者が篭城して生物兵器で
政府を脅迫、そこに単身兵器を奪還しにいく」と似てるのだから無理ない話で(^-^;
で、しかもそれよりもアクション性やサスペンス性が低いと酷評。
しかし当方はそこまで酷いとも思わなかったですね。
コレでも日ごろ結構酷評する方なんですがw
何故そう思うかというと、「ザ・ロック」にしたってポカは多いんですよ結構ねw
基本的に自分はリアルなほうが好みなんですが「ザ・ロック」はエンターテイメント性を
重視するあまり、ハリウッドお得意の(w)かなり誇張したシーンや
目が点モノのバカ設定(ここでとやかくは言いません)を派手なシーンや
アクションでゴリ押ししてるんですよねw
その点では「亡国のイージス」はもうリアルリアルw
さすがにグソーだのテルミットプラスだのという兵器は架空でしょうけれども
撃たれてもそのまま平気な顔してドンドンバキバキ暴れまくるヒーローで無いだけマシw
この映画で一番酷評されている最後の「手旗信号(ネタバレ失礼)」のシーンですが
あれもワシは失笑したりはしませんでしたよ(確かにカッコわるさは認めるけど)w
仙石(主人公)は船内で仲間の如月(政府情報員)から偵察衛星が上空に
固定される事を聞いているし、足を打たれた状態で通信もままならないあの状況下では
あの方法以外ワシも考えつきませんw
「ザ・ロック」の様に発炎筒を炊いたって事前打ち合わせも無い
…しかし確かにもうちょっとかっこよく見せてやれんかったかね(苦笑
ソレよりも真田広之や中井貴一らの迫真の演技とアクションが素晴らしい(^^
日本映画がだいぶ元気になってきて、ようやくここまでの良作を作れるようになった
ことが私はただうれしいよ。
あとこの映画の感想をネットでちらほら見てきて感じたことで、
この映画が発するメッセージについて思うことを少し述べようかと思う。
日本の国家防衛の唯一の手段である自衛隊。
その存在意義と法的正当性の有無に対する義憤、俗に「平和ボケ」といわれる
戦争に対する認識の甘さなどに対する警鐘は特に反発も無いし、主人公の
ちょっと浪花節な「義理人情の道徳感」は古典コテンしてて暑苦しさも感じるが
概ねそれでよいと思ってる。
だがそれ以上に語りたいことがあるようにも思えるのだ。
それは何時においても柔軟に迅速に対処できるものこそが危機を回避するということ。
それはケースハードゥンの精神だ(By松本零士)
この物語中で先任伍長である仙石(主人公)はイージス艦の構造を
熟知している地の利を活かして敵を倒していったり、敵の策略を阻止していくのだが、
基本的に戦闘状態という非常時に最も迅速に行動が取れている人物なのである。
謀略を阻止する為に送り込まれた情報員は戦闘術には長けているが
それ一点に特出しすぎている為状況判断に柔軟性がもてずミスをしてしまう。
敵も同じで、まず謀反した者たちは並々ならぬ感情や理念によって己を見失っている。
行動を起こした某国(キ○チョー)の工作員達は全員が
戦争特有の極限の緊張感による感覚や精神のマヒが慢性化していて、
まず脱臼した関節や足に刺さったナイフに気づかなかったり、戦力にならなければ即
自決を謀るしまた上官も止めない。
こういった行為や現象は決して事態を好転させはしないのだ。
その結果特化しすぎて事態に柔軟に応じることが出来ないため己を滅ぼすことになる。
そういったある意味では「あたり前」のことをメッセージとして伝えようとしているとは
思えないだろうか。
だが実際の軍組織においても「先任伍長」や「先任曹長」といった階級は小隊等において
最も戦闘経験や能力のある実力者が就くものなので、主人公の活躍ぶりは決して
極端に誇張したりムチャなものではないのでそうヤジることもないと思うのだ(^^;
そういった考えから当方はこの映画はかなり良い出来だとおもっている。
最後に自衛隊の法的正当性云々について毒一つw
その憲法で軍を持たないと明記したのは連合国側の強制でもあり
自衛隊の元となった「警察予備隊」はその後すぐに始まった「朝鮮戦争」での
戦力確保の為に急遽日本から援助を出させる為に連合国代表の米国が
「自らの国を衛る為」という名目で「許可」した組織なんですよねw